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一話 厄介な問題ほど舞い込んできてしまうものである 4
「こいつは…………」
「これが証拠だ! 貴様も一騎士なら知っておるだろう! このテキーラ家の紋章をな!」
ああちくしょう。
確かに男が見せてきたペンダントには、テキーラ家の家紋である獅子が彫られている。
これは間違いなく初代国王から送られたテキーラ家に代々伝わると聞くペンダントだ。
つまりこの男は…………。
「これで分かったか! わしが誰か理解したんならさっさと何処かへ行け!」
「ぐ…………」
どうする、どうすれば彼女をこいつの魔の手から救える?
殴って気を失っている隙に彼女を連れ出す方法もあるが、それをやったら兄貴達が窮地にたたされてしまう。
無理だ。
だとしたらなんとか説得するしかないが…………と、悩んでいたらその姿に女の子は不安に思ったようだ。
「た、助けてくださいますよね……?」
「それは…………」
助けたいが、俺だってどうしたら良いのか分からないのだ。
「何をしておる! さっさと行かんか! そんなに家族を貶めたいのか、貴様は!」
「ッ……!」
ああもうどうにでもなれ!
親父達も女の子を助けて苦労するよりも、見捨てて安穏と暮らす方が嫌だろう!
多分。
と俺は組敷かれている彼女を救うため、ビブレを押し退け、女の子を立ち上がらせた。
「すいませんがね、目の前で犯罪が行われてるってのに放っておけないんすよ。 あと女の子を見捨てるのは俺の主義に反するんで。 って訳でどけ」
「うおっ! き、貴様、ふざけるな! わしが誰なのか未だに分からんのか!」
俺に押し退けられ尻餅をついたビブレが、元から醜い顔面を更に歪ませ激怒してきた。
が、それに構わず俺は女の子を抱き寄せこう言い放つ。
「分かってますって。 ビブレ様ですよね? だからって見過ごせんでしょうが。 おいあんた、大丈夫か?」
「は、はい……。 あの……ありがとうございます……」
「礼は後な? 取り敢えず胸元直したらどうだ?」
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