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そんな同い年とは思えないほどの責務を果たす龍牙の秘書を
務めるのは大変だ。
薬の効かないオメガであるため
月に数日程度、休まなくてはならないが、
楓は秘書業を完璧にこなしていた。
しかし、最近一つの問題と直面している。
楓は仕事場につくと、パソコンを立ち上げ
まず溜まっていたメールを一つ一つ丁寧に確認した。
そして、気になったメールを見つけると
タブレットを広げ、同じ画面を写し、
龍牙のいる部屋へと繋がるドアをノックをした。
専務室は2部屋に分かれている。
手前の小さな部屋は受付のようになっていて、
そこが楓の仕事場で
龍牙の部屋はその奥にある。
返事があり、部屋に入ると、
タブレットを触りながら、
伝達ミスがないように、もう一度内容を確認した。
そして、パソコンに目を向けていた龍牙が
楓の方を見るなり、口を開く。
「昨夜パトラ商事の会長補佐からメールが届いており、
今晩パトラ商事の会長と令嬢も含めての食事をしないか、と言う
お誘いがございました。
いかがされましょう。
もう既に先月も二度お断りされていますが・・・」
「構わない、また断っておいてくれ。
こっちは、もう三日も会食続きだ」
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