第一話

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早々に断られた後、 楓は龍牙の部屋を出て、自分のデスクへと戻った。 すると、昨日、代わりを務めてくれた羽田が現れた。 「体の調子はどうですか?」 羽田は、この会社の役員秘書全員の補佐をしているので、 昨日のような急な休みや、 有給休暇をとるときなど、代わりを務めてくれる。 「もう大丈夫です。昨日はありがとうございました」 「いえ。 先ほど営業部長とお会いしまして、こちらを渡して欲しいと言われ」 そういうと、肌は胸ポケットから、他社の名刺を取り出し、 楓に差し出した。 「先日流星銀行の社長とお会いになったらしく、 先方が娘さんを含む専務とのプライベートな食事会を望んでいるそうです。 こちらがご連絡先になります」 「あぁ・・・対応しておきます」 またお見合い話だ。 「最近多いですね。 いっそう世那さんのように 早く結婚してくださったほうが こちらの対応に追われなくてすむんですがね」 「そうですねぇ」 楓は、笑う羽田に合わせ笑い、 大手銀行の名刺を眺めた。
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