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早々に断られた後、
楓は龍牙の部屋を出て、自分のデスクへと戻った。
すると、昨日、代わりを務めてくれた羽田が現れた。
「体の調子はどうですか?」
羽田は、この会社の役員秘書全員の補佐をしているので、
昨日のような急な休みや、
有給休暇をとるときなど、代わりを務めてくれる。
「もう大丈夫です。昨日はありがとうございました」
「いえ。
先ほど営業部長とお会いしまして、こちらを渡して欲しいと言われ」
そういうと、肌は胸ポケットから、他社の名刺を取り出し、
楓に差し出した。
「先日流星銀行の社長とお会いになったらしく、
先方が娘さんを含む専務とのプライベートな食事会を望んでいるそうです。
こちらがご連絡先になります」
「あぁ・・・対応しておきます」
またお見合い話だ。
「最近多いですね。
いっそう世那さんのように
早く結婚してくださったほうが
こちらの対応に追われなくてすむんですがね」
「そうですねぇ」
楓は、笑う羽田に合わせ笑い、
大手銀行の名刺を眺めた。
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