プロローグ

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微熱と腹奥が脈打つ中、 楓は完全な興奮状態になる前に 秘書として付いている専務へ連絡をしていた。 「本日は8時半から経営企画部との会議があります。 車はいつも通り地下駐車場で待っておりますので、 7時半には降りてください。 その他のスケジュールは昨日のうちに 専務の携帯に送ってあるもので、 変わりはございません。 会社につきましたら 私の代わりに羽田くんが、専務に付きますので よろしくお願いいたします。 今夜のニュー商事との会食のお供も羽田くんが」 すると 「分かった」 と、いつもと変わらぬ無愛想な返事が戻ってきた。 早々に電話をきると、 楓は流れ作業のように間髪入れず 役員秘書を取りまとめている社長秘書の大塚と  発情期にはいつも代わりを務めてもらう秘書としては先輩だが 29歳の楓よりも1歳年下の羽田に連絡し、 休みの報告や必要な業務事項を説明した。 それを終えると仕事モードで張っていた気が緩み、 体の内側がじわりと熱くなってきたので 浴室に向かった。 発情してしまうと、 食事をする余裕すらないほど 自慰に没頭してしまう為 ベッドではなく 浴室でこの期間を過ごしている。 オメガ男性は、 性的興奮状態になると 前にある男性器が勃起するだけではなく、 後孔から体液が止めどなく溢れ出てくるので シーツが汚れてしまって切りが無いのだ。
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