プロローグ

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「ぁ、っんっ!あっ!」 発情中の楓のフェロモンに当てられた龍牙は 楓を壁に向けたまま 何度も、何度も、 昂る塊の出し入れを繰り返す。 龍牙の動きは的確に楓のツボを突き、 楓を再び頂上まで連れて行く。 「んっ!あっ!あんっ!っ!」 向かい合うことも、 口付けすることもなく ただ後から、続けられる長時間のピストン。 快楽に溺れる楓の細い腕や脚は 限界に近づきプルプルと震える。 「っ・・・」 龍牙の体力は一向に衰えることはなく、 どんどんとスピードを早めていく。 激しい圧力に崩れそうな楓を支えるように 龍牙はゴツゴツとした男らしい手で細い腰を抱える。 「あぁんっ!」 速さに加えて、勢いも増す。 肌がぶつかり合う音と、 液体が卑猥に混ざる音が静かな寝室で鳴り響く。 そんな中、 絶え間なかった動きが 太い唸り声と共に止まると、 粗い息を吐きながら、 龍牙は楓に覆いかぶさり、 胸元に手を回す。 楓は腹の中に ドロっとした熱を精がじわっと広がっていくのを感じたが、 龍牙はそのまま、動かず、 楓の中に留まっている。 アルファの射精時間は長く、 相手を確実に妊娠させるために 放出する精子の量も多い。 楓の小さな器では 納まりきらないほど 放たれた液は じゅくじゅくと溢れ出て、 楓の腿を伝った。 アルファの体液を体内に大量に摂取したことにより 興奮が落ち着いてくると、 眠気と疲れが急に襲いかかり、 楓はバタッと倒れるように横になり、 それと同時に、二つの体は離れた。 楓の視界は どんどんと狭くなる。 そして、知らぬ間に目に溜まっていた涙が溢れ落ち、 真っ暗になった。 楓が再び意識を取り戻すと、 薄手の生地のカーテンから漏れる自然光が目蓋を照らしていた。 ゆっくりと目を開くと、アンバーの瞳に、龍牙は映らない。 代わりに ベッド脇にあるサイドテーブルには 妊娠を回避させるための 緊急避妊ピルの空の容器が置かれている。 意識を失いかけていた楓に 龍牙が飲ませたものだ。 何時間も、 体を重ねても、 キスをしたり、 抱きしめ合ったり、 愛を語ったりなどはしない。 ましてや妊娠などは互い望んではいない。 二人は番ではあるが 恋人ではなく、 ただの専務と秘書だから。
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