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輝希と咲希が産まれる前、1人で抱え込まない約束をしていたので、わたしは侑希さんに「同時に2人も育てられるか自信がない」と不安を漏らしたことがあった。すると怒られた。「なんで1人で育てる前提なの。2人の子だから、2人で育てよう」と言ってくれて、幾分か心が軽くなったものだ。
先に輝希が産まれて、後から咲希が生まれた時、侑希さんはまずわたしに「頑張ってくれてありがとう」と泣いてくれた。妊娠が発覚した時もこれ以上にないくらい喜んで泣いてくれたし、2人より先に退院した時も「おかえり」と抱きしめて泣いてくれた。
結婚した途端、侑希さんは泣き上戸にでもなったのか、よく涙を見せるようになった。どうしてか聞いたら「幸せだからだよ」と教えてくれた。
「じゃあ今日は俺が咲希に飲ませるから、さくらさんは輝希にお願い」
「分かった」
それぞれ我が子を抱き上げてミルクを飲ませる。一瞬で静かになり、侑希さんと顔を見合わせて笑った。
「咲希ちゃん? ちょっとがっつきすぎじゃない? 女の子なんだからもう少しおしとやかに飲もうよ」
口からミルク溢しすぎ! と慌てる侑希さんを横目に、腕の中にいる輝希を見ると、咲希と違って半分寝ながらミルクを飲んでいた。
双子だけど性格は違うようだ。
再び侑希さんに視線を向けると、彼もわたしを見ていて目が合った。みんなを包み込むような温かい眼差しで、ひどく安心する。
「侑希さん、大好き」
そう言えば顔を赤くしながら「俺もさくらさん大好き」と返してくれる。
侑希さん、わたし、輝希、咲希、そしてつぼみ。
わたしたちはこの5人で前だけを向いて生きていく。
この幸せがもっと、ずっと続きますようにと願いながら。
END
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