3年後

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3年後

『もしもーし。こちら羽原とー』 『莉衣菜でーす! 聞こえますかぁ?』  スマートフォンの画面に、金髪ピアスの同級生とブラウンの髪が軽くウェーブがかった可愛い女の子の顔が映った。莉衣菜ちゃんの家なのだろうか、2人の後ろにキャラクターものの壁時計が映り込んでいる。 「もしもーし。聞こえまーす。こちらさくらと……」 「お久しぶりです、侑希です。お元気でしたか?」  羽原君と莉衣菜ちゃんが映っている右上に、わたしたち2人の姿も映る。侑希さんは今年30歳を迎えるにもかかわらず、アイドル顔はそのままで、中学生に見えなくもない容姿をしている。対するわたしは化粧っ気もなく、当分美容院にも行けていないので髪ツヤはまるでなかった。もう少し落ち着いたら、行ってもいいか侑希さんに相談しよう。 『おお、元気元気。独立するために色々勉強してるし、毎日楽しいぞ』 『莉衣菜も新人教育任されたりして、頑張ってるよ! 最初の頃は先輩たちに怒られまくってたけど、今じゃ莉衣菜も先輩だから頼りにされてるんだよ』  2人とも本当に毎日が充実してるのか、生き生きとしていた。  羽原君は本社から辞令が下り、都内の別の店舗の店長となった。元々自分の店を出したいという夢を持っていて、今は夢を実現させるため本格的に動いているようだ。  莉衣菜ちゃんも国家試験に受かり、内定をもらっていた柴咲(しばさき)記念病院で働き始め、消化器外科病棟の看護師として日々精進しているらしい。  2人の交際も順調で、お互いの両親とはそれぞれ顔を合わせたと教えてくれた。
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