3年後

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 子どもに対しては優しいことは知っているが、赤ちゃんに対してどういう反応を見せるのかが分からなかったので、一応離していた。 『わぁ、つぼみちゃん! 莉衣菜のこと覚えてるかなぁ?』 『おお、侑希のスマホで写真見たけど、そのまんまだな』  侑希さんがインカメラにして画面をつぼみに向けた。莉衣菜ちゃんが『つぼみちゃーん、莉衣菜だよー。覚えてるかなぁ?』と声を掛ける。つぼみは不思議そうに画面を見つめ、鼻を近付けた。 『わ、画面が黒くなった! え、なに、鼻? やだぁつぼみちゃんたらお顔見せてぇ』 『うお、犬の鼻をこんな間近で見たの初めて。なんかウケるな』  キャッキャと盛り上がる。するとリビングの方からフガフガと声がしたと思ったら、凄まじい泣き声が仏間に届いた。 「あ、起きちゃった」  慌てて駆け寄る。泣いていたのは輝希の方だが、その泣き声に反応して咲希まで泣き始めた。そろそろミルクの時間か。 『お、元気だな。大変だろうけど頑張れよ。電話サンキューな』 『名残惜しいけどバイバイ。みんなの顔が見れてよかった。また電話しようね!』  こちらこそありがとう、と言い合って通話を終えた。泣き声のハーモニーだけが家中を駆け巡る。 「あーはいはい。ちょっと待ってねー」  キッチンで哺乳瓶を2つ並べて粉ミルクを入れていると、「1個貸して」と隣に侑希さんが並んだ。
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