花火大会

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『4人で花火大会? 楽しそうだね』  朝予告があったように、夜に守永さんから電話があったのでダブルデートの話をすると、そう言ってくれた。 『俺は休みだけど、みんなのシフトは大丈夫なの?』 「はい。羽原君が店長の権限で、日曜日はわたしも休みのシフトを組んでくれたみたいです」  他の人には申し訳ないことをした気がするが。 『莉衣菜さんとは久しぶりに会う気がする』 「わたしもです。すっごく楽しみ」  守永さんと一緒に花火を見られることも楽しみだが、何より莉衣菜ちゃんに会えることも楽しみだった。唯一の癒しだった親友としばらく会っていないだけで、気分が下がり気味だったので、日曜日まで頑張れそうだ。 『……浴衣は、着ないの?』  遠慮がちにそっと投げられた疑問の意味を汲み取ってしまって、ドキン、と心臓が跳ねた。彼は遠回しに浴衣を着て欲しい、と言っている。
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