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しかしながら、美晴と木乃香は冷静だった。型紙と説明書を見ながら、
「まぁ作る分には大丈夫そうだね」
「うん」
と声を掛け合う。
「えっ、大丈夫なんですか?」
「まぁこれくらいなら。サイズも小さいし。問題はオリジナリティだよ。服を作りながら分担しないといけないわけでしょ?」
美晴は型紙を製作台の上に一枚ずつ重ねて広げる。てっぺんには一番大きな型紙が来た。
「これがケープの部分だね。フードがついつるタイプで、前はリボン結びで留める感じ」
皆は頷きながら型紙を見る。
「さて、うちには今ビーズ、羊毛フェルト、編み物、刺繍のプロがいます。これを担当ごとに分けていく。そのためにはみんなの意見が必要だ」
「いや、プロじゃないし」
ツッコミを入れた日和を無視して、睦月がスマホをいじりながら写真を見せた。
「赤ずきんで調べたら、結果いろいろ出てきますよ。ケープにレースをつけたり、刺繍をあしらったり」
「うわっ、確かに可愛い……でも調べたのをそのまま使ったら、オリジナリティどころかパクリにならない?」
「あぁ、そっか。きっと主催者側も見てるはずでしょうしね」
「じゃあ何か意見のある人はいる?」
その時に穂波が手を挙げる。
「はいっ、ほなみん!」
「あの……こういう感じのお花モチーフのレース編みなら出来ます。フードの部分を囲うくらいの長さを編んで、縫い付けるのはどうですか?」
例えばと言いながら、穂波はタオルハンカチを取り出し、その縁取りのレースを見せる。全員驚いたように目を見張った。
「……これ、自分で編んだの?」
「はい」
「買ったんじゃなくて?」
「はい、これは小さめですけど、フードなら少し大きめで作って目立たせた方が良いかもしれませんね」
「でもさ、せっかくならケープ全体の縁をレースで覆った方が可愛くない?」
「が、頑張れば出来そうだけど、たくさんだとしつこくないですか?」
「……いや、むしろ可愛い気がする……」
「……間に合うかわからないけど、頑張ってみます!」
「頼んだ! ほなみん!」
穂波は戸惑いながらもとりあえず頷いた。
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