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走り出す
それは7年前の秋のことだった。
横浜市内の港近くに、個人参加型のフットサル場があるという話を聞いて、そこへ行ったのがきっかけだった。
柳井紀夫は、一人でフットサル場に出向いた。
「ここか・・・」
はっきりと、正直に言って駅から歩いて15分と遠い。それでいて、場所は港脇の道をずっと奥まで入って行った先にあるコンテナ置き場の、さらに奥にそのフットサルコートはあった。
入口の門を入り、歩いていくと、すでに数人のお客かスタッフなのか、コートの中を走っている。
その端では、ボールを足の裏で転がしていたり、その前にはコートに座ってストレッチをしている人もいた。
紀夫はコート奥にあるクラブハウスに入ると、「予約した柳井です。初めてなんですが・・・」というと、店長らしき30代後半の男性が「柳井さんですね。はい、参加費1000円です」と言ってきたので、紀夫は1000円を渡すと、「ありがとうございます。更衣室は左手にあります。着替えて準備ができたら、コートに入って待っていてください」と案内された。
何気なく立ち寄った先のフットサル場だった。
サッカーに興味があり、その前からフットサルをやっていたこともあるが、大学に進学し、サッカー部に入ってサッカー漬けの日々を送ろうとまでは思わなかったが、趣味の一つとしてサッカーやフットサルができれば良いと思っていた。
その結果が、偶然の出来事を生んだ。
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