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チーム結成から2年。
6人は大学4年生となり、就職活動やら進学やら進路を決めるので忙しい時期ではあったが、それでも、毎月一回は必ず大会に出ようというチームの意思統一を決めてから、まっちゃんがチームを抜け、代わりに田島力也と益川幹也が加入した。
この二人も同じ大学の生徒で、サッカー部に所属はしていたが、Aクラスと呼ばれる、所謂レギュラークラスに上がれなかった部員で、ほぼサッカー部に籍はあっても、部活にはいっていない幽霊部員だった。
この二人と同じころ、益川の彼女の友人、森川ひなという少女が入ってきた。
彼女は学年は2つ下である。
チームの選手としてではなく、最初は応援団としてだったが、今となってはチームのマネジャーとして連絡係や調整係までやってくれていた。
ひながチームに入って1年。
紀夫達が4年生、ひなが2年生の夏の事だった。
個人参加の個人フットサルで知り合ったメンバーで出る大会もあとわずかだ。
大学を卒業したら、みんな故郷に戻ったり社会人になって都内へ引っ越しをしたりとバラバラになるだろう。
そんな別れが来る前に、紀夫は連絡係のひなにLINEで次の大会の事で連絡をした。
ー次の大会、第3日曜日の大会に出場するから、メンバーを集めておいてー
そうメッセージを送ると、ひなからは思った答えとは違うメッセージが送られてきた。
ー次の大会、私行けないかも知れませんー
紀夫はその言葉の意味に悩んだ。
ー何か予定でもあるの?ー
そうメッセージを返すと、ひなからはー電話で話せますか?ーと返ってきた。
紀夫はそのメッセージを読んでから、ひなに電話を掛けた。
数回のコールの後、『もしもし・・・』と悲しげな声のひなが電話口に出た。
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