走り出す

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 梅雨が明け、紀夫達は7月の第三日曜日に開催される大会に出た。  大会は6チーム総当たりリーグ戦で、勝てば勝ち点3、引き分けなら勝ち点1、負けは0というルールで、最終的に勝ち点が多かったチームが優勝という内容だ。  第1試合が始まる前、紀夫は周囲を見回してから、選手だけを集めて作戦会議を開いた。 「ごおるはキーパー、守備は俺、池ちゃん幹也、城戸ちゃんは前で点を取って・・・」  と、そこまで話してから紀夫は少し緊張した面持ちで、「本当は試合前に話したくなかったんだけど・・・、今日のこの大会、絶対に優勝しよう」といった。 「えっ、いつもそう思って望んでいるじゃん」  池ちゃんが『何をいまさら・・・』という顔で言ったが、紀夫は表情を崩さず、「いや・・・、今回は絶対に・・・。なにより、ひなに優勝する姿を見せよう」といった。 「ひなちゃんの為に?どういうこと?」  益川が神妙な顔で聞き返した。 「今回の大会に関して、ひなと連絡をしていた時、ひなから聞かされたんだ。ひな・・・、難病を抱えていて、その余命が1年だと宣告された・・・、って」 「余命1年・・・、嘘だろう?」  誰もがその場にいた全員の表情に陰りが見えた。 「俺も最初は冗談だと思った。けど、本当らしい・・・。ひな、今日は来ているけど、明日からしばらく入院する。だから、病状次第では、俺たちの姿を見れるのは、最後かもしれないんだ・・・」  その紀夫の言葉に、全員が返す言葉を失った。そんな状況の中、紀夫達のチームが呼ばれた。
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