走り出す

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 紀夫達のチームは順当に勝ち進んでいた。  第4試合を終えた時点で、紀夫と幹也は、「次の対戦相手と状況を確認してくる」と言って立ち上がると、みんなに飲み物を配っていたひなが、「あっ!私も見に行く」と立ち上がって振り向いた。その瞬間、目眩でも起こしたのか、ひなは紀夫の体に倒れ込んだ。 「おい!ひなちゃん。大丈夫か?」 「うっ・・・、うん。大丈夫・・・。ちょっと、貧血を起こしただけ。ほら、今、急に立ち上がったから・・・」  そういうひなの身体を支えている紀夫は、「お前は座っていろ。俺達で見てくるから」と睨み付けるような視線を向けて、ひなに言うと、「幹也、行こう」と声を掛けた。  数段の階段を上り、クラブハウスの窓に貼られている対戦表に視線を向けながら、幹也は、「本当のようだ・・・」とだけ、言葉を口にした。 「彼女には、伝えた?」 「まだ・・・。あいつ、顔に出るから、今夜にでも話すよ」 「そっか・・・」  紀夫は、幹也の言葉にただただ、静かに頷くだけだった。
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