走り出す

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 紀夫と幹也は、ひなから対戦表を見せてもらった。 「次はスタッフチームだよ。向こうは、俺達の試合の前に試合が終わっている。それで、勝ち点12の1位。こっちは、今、試合が終わっての勝ち点10。優勝するには、勝つしか無いわけで・・・」 「勝てる秘策はあるの?」  ひなが悲しい表情で紀夫を見つめる。 「無い・・・。でも・・・」  紀夫が何か言葉を続けようとしてやめた。  そして、手にしていた対戦表をひなに渡すと、「なぁ、ごおる。次の試合は、相手にシュートを撃たせるから、絶対に止めてくれ!池さんと翔、幹也は攻撃に集中して!守備は俺一人で守る!」とみんなに伝えた。 「それは良いけど、それで勝てるのか?」  幹也が紀夫に視線を向ける。 「勝てるとは思わない。けど、攻撃こそ最大の防御なり!なら、攻撃するしか無いだろう」 「攻撃と言っても・・・。カウンターを食らったらアウトだぜ!」  他のメンバーが異義を唱えた。 「いや、自分達のコートでボールを回すよりは、相手のコートで回していた方がチャンスもある!左右に大きく振れば、キムにも死角は生まれるだろう・・・」 「そこを、幹也の・・・」  翔が幹也に視線を向けた。 「それなら、池さんと翔がアラで俺がピヴォ。なるべく、2人でボールを回して左右に振ってくれる?」  それだけの会話だったが、4人には見えない構図が見えたいた。
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