走り出す

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 最終試合が始まった。事実上の決勝戦だ。  紀夫達のチームは、勝てば優勝。負けと引き分けでは優勝は無い。 『ひな。残り1分になったら、ラストって、叫んでくれ。そしたら、メンバーを入れ換えて総攻撃だ!それまでは、何とか交代をしながら失点だけはしないで行こう』  紀夫の言葉に、勝つためのプロセスを感じられなかった。それでも、メンバー一人一人はやるだけの事をやると決めていた。  スタメンはゴレイロにごおる。フィクソに紀夫、アラに池さんと翔、ピヴォに幹也が入った。このメンバーでごおる以外は試合時間5分でベンチに下がることが決まっている。そして、残り1分となれば出場しているという作戦。  相手ボールからのキックオフ。  相手は一度ボールを下げると、前2人、後ろ2人の2:2というバランスの良いシステムで動いて来た。  対する紀夫のチームは3:1という攻撃的な布陣で望む。  紀夫達のチームは、布陣をダイヤモンドに構え、中央にボールを入れさせない作戦を取る。中央にボールが入れば、相手に得点のチャンスを与えてしまうからだ。  なるべく、左右のサイドライン際から攻めさせるように、ボールホルダーを端へ端へと追い込んでいく。  縦にボールが入った時は、紀夫がボール目掛けてブロックをする。  その先に行かれても、折り返しのボールさえ無ければ、ごおるがシュートだけに集中出来る。  そういう作戦であった。
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