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対決
「まさか、刑事さんたちもいるなんて。ビックリだわ。」
山本 久留実はニコニコしながらそう言った。
「何故あなたは此処に?」
一応私は確認する。
「呼び出されたの、その人に」
山本 久留実はエグゼを指させた。私はエグゼを見る。
「まあな。そろそろ答え合わせがしたくてな。」
エグゼは言葉を続ける。
「単刀直入に聞くが、この連続殺人の犯人はお前だな。まぁ、厳密に言えばお前が契約した悪魔が殺したんじゃないか。」
エグゼが問い詰めると、山本 久留実は満面の笑みで
「正解。よく出来ました。」
と拍手をした。
「やったー!景品とかある?俺、最新のゲーム機が欲しいんだけど」
ふざけるエグゼを私と警部が睨む。その視線に気付いたエグゼはコホンと咳払いをして
「このままだとお前は死ぬ。その前に契約を解け。俺ならそれが出来る。」
山本 久留実を諭す。その提案に山本 久留実は
「嫌よ。」
そう答えた。その顔には先ほどの笑みは無く、無機質な感情の無い顔をしていた。その顔が私はひどく恐ろしく見えた。
「誰でもいいから『分かった』って承諾してくれないもんかねぇ。」
エグゼは溜息をつく。
「なら話は早い。山本 久留実、お前を殺人の容疑で逮捕する。」
エグゼと交代するように警部が口を開く。
「あら、どうやって?証拠が無いじゃない。」
山本 久留実は冷めた目で見ながら警部に問いかける。
「さっき自分で言っただろ。今なら自白したことにしといてやる。一緒に署まで来い。」
警部が山本 久留実に近づく。
「無理よ。だって、あなた達、ここで死ぬもの。」
その瞬間、警部の足元の地面が盛り上がった。
「警部!!!」
私の叫びを聞いて警部が異変に勘ずく。急いで後ろに下がろうとする警部だったが地面からは既に正体不明の植物が飛び出していた。間に合わない!!!そう思って目を瞑る。
「犯人目の前にして目何か瞑ってんじゃないよ、全く。」
エグゼが呆れたように呟く。その手には襟を掴まれた警部が居た。
「うそっ!!!警部!?」
驚く私に
「あ、ああ、どうやら助かったらしい…」
警部も驚いたようにそう言った。
「俺のおかげだぜ。感謝したまえ。」
むんっと胸を張って得意げなエグゼ。
「おい、いつまで掴んでいるつもりだ。さっさと離せ。」
警部はめんどくさそうにそう言った。
「ヒドイッ!!!綾香たん、慰めてっ!!!」
「きっつぅ」
しまった、思わず本音が。
「お喋りはそこまででいいかしら?私、暇じゃないんだけど。」
山本 久留実は無機質な顔に少し怒りの表情を浮かべながら、吐き捨てる。
「復讐の続きでもすんのか?やめとけやめとけ、復讐なんて。やってる時は気分最高だけど終わったら暇になるぜ?」
「心配してくれてありがとう。でも、大丈夫よ。終わったら私もこの世からいなくなるから。」
「そこなんだよ。ぶっちゃけると俺はお前を生かしたい。おすすめのプランはこの刑事たちについて行って自白すること。それに今なら何と!悪魔との契約も破棄できちゃう出血大サービスでお送りしちゃいます!!!キャー、すごーい、ステキー。」
テレビショッピングみたいなノリのエグゼに憐れみと怒りの視線を向けながら山本 久留実は
「そのふざけた態度も見飽きたわ。二度と出来ないように貴方から殺してあげる。安心して?二人もすぐに送ってあげるから。」
そう言い終えると山本 久留実の影からズズッと体中が植物で覆われた人型の化け物が現れた。
「なに…あれ…」
私は言葉を失う。自分が目にしている現実が受け入れられない。動かずに踏ん張っていなければ腰が抜けそうだ。それは警部も同じなようで固まったまま目を見開いている。
「あれが悪魔だよ。」
エグゼが言う。その言葉でこれが現実だと嫌でも知らされる。
「悪魔が本当に存在するとは…」
警部が小さく呟く。
「殺して」
冷酷な声で山本 久留実が言い放つ。その言葉を聞いた植物まみれの悪魔はニヤッと薄気味悪い笑みを浮かべながら近づいてくる。
「チッ、今回も外れか」
そう呟いたエグゼは悪魔に向かって歩き出す。
「さっさと来いよ、喋れもしねぇ低級悪魔が。」
「グワアァァァァ!!!」
エグゼの挑発に切れたかのか悪魔は走ってこちらに突進してくる。
「エグゼッ!よけて!」
私の叫びにエグゼはグッと親指を立てて答える。
「今はふざけてる場合じゃないでしょ!」
「大丈夫、俺最強だから。」
どこかで聞いたことのあるセリフを放ち、エグゼは右手で一閃を切る。
「えっ」
驚きの声を上げたのは私か、山本 久留実だったか。それとも両方か。エグゼが一閃を切った後、悪魔は上半身と下半身が離ればなれになり、地面に横たわった。そして、そのまま塵となった。
「はい、終わり。」
手をパンパンと払ってのんびりとエグゼは背伸びをする。
「あなた、何者なの?」
私の問いにエグゼは
「俺?俺は悪魔だ。」
平然とした様子でそう答えた。
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