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聞き込み②
一人目は山本(やまもと) 久留美(くるみ)。年齢は27歳。職業はOLをしている。以前男に襲われそうになったところをエクセキューショナーに助けてもらったらしい。久留美さんの見た目は、髪はストレートヘアーで眼鏡を付けていている大人しそうな女性だ。
「では、エクセキューショナーに助けられた時のことを話してくれますか?」
私は率直に質問をした。久留実さんは
「はい。あの日は残業で帰るのがいつもより遅くなってしまったんです。その帰り道に急に男二人に路地裏に連れ込まれて、私、怖くて、声もあげれなくて、もうだめだって思った時、彼が来てくれたんです。音もなくスッと現れました。まるで瞬間移動してきたみたいに。そしてあっという間に男二人をやっつけてくれました。そして、そのまま去っていきました。」
そう喋り終えると久留実さんはうっとりとした顔つきになった。
「そうでしたか、無事で何よりです。ところで、エクセキューショナーの背格好はネットや新聞に載っている通りでしたか。」
私は続けて質問する。
「はい。身長は大体180くらいありました。恰好は黒のフード付きの革ジャンで、黒いズボン、顔はフードで見えませんでした。」
「成程、分かりました。ご協力ありがとうございました。」
そう言って立ち去ろうとする私達に久留実さんは
「刑事さん」
と声を掛ける。
「はい、何でしょうか?」
振り返る私に
「もし、彼に会ったら“助けてくれてありがとうございました”と伝えてください。」
とお願いしてきた。私は
「はい、伝えておきます。」
ニッコリ笑ってそう言い、久留実さんの家を出た。
家を出た後、
「気づいたか?」
警部の問いに
「はい、彼女、“彼”と言っていました。夜の暗がりで顔も見えない状況なのに。それに声を聞いてもいない様子でした。」
そう答える。彼女の証言は明らかにおかしかった。
「いきなり当たりを引いたようだな。」
「そうですね。でも、念の為他の人達にも話を聞きに行きましょう。」
私達は次の人に話を聞きに行った。
結果、他のエクセキューショナーに助けられ人達は全員が性別を聞いても知らなかった。「どうやら、山本久留実を張っておいた方がいいな。」
「そうですね。エクセキューショナーに辿り着くとすれば彼女を…エクセキューショナーって呼びづらくありません?」
「ん?まぁ、そうだな。長いし呼びにくいな。」
「略称を決めましょう。そうだなぁ、ExecutionerからExeをとってエグゼと呼ぶのはどうでしょうか?」
「勝手にしろ。」
「じゃあ、エグゼで。で、そのエグゼに辿り着くには彼女しかいません。」
「決定だな」
それから私達は山本 久留実を一日中張り込み続けた。私達のような異質な部署の応援には誰も来てくれず、私と警部が交代交代で家に張り続けた。
そんな時だった、一通の無線が入る。
「こちら、犬飼。何?それは本当かっ!!そうか、分かった。直ぐに向かう。」
「どうしたんですか?」
警部は苦虫を嚙み潰したよう顔をしながら
「また、被害者が出たそうだ。」
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