対面

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対面

 遺体が運ばれるのを見送ってから私達はこれからどうしようかと悩んでいた時だった。 ふっと何気なく川の堤防の上を見る。 そこには、雨の中、傘もささずに立っている人がいた。その人は黒いフード付きの革ジャンに黒のズボンを着た全身黒ずくめの恰好をしていた。エグゼの恰好と一致する‼そう思った瞬間、私の視線に気づいたのかその黒ずくめは走って逃げていく。 「容疑者発見しました、追います」 私は短く警部にそう言い走り出す。 「何⁉おい、待て。一人で突っ走るな!!」 私は警部の声を無視してエグゼと思わしき人物を追いかける。ここで捕まえなければまた、被害者が増えるかもしれない。そう思いひたすらに追いかけた。 逃げるエグゼ、追う私。流石に体力が切れかけた時、エグゼは廃墟に逃げ込んでいった。 チャンスとばかりに私も後を追う。 私が廃墟の中に入るとエグゼは部屋の中央で古びたソファに座っていた。なめているのか。イラっとしたが、気を落ち着かせ私は 「観念しなさい!!あなたがエクセキューショナーね。」 と声をあげる。 「その名前は嫌いなんだよね。長いし、言いずらい。全く、考えた奴はセンスが無ぇよな。そう思わねぇ?」 喋った。いや、喋るのは当たり前なんだろうが、まさか会話をしてくるとは。 意外にも若い声をしているな。 「それに比べてあんたの考えたエグゼはまだいいな。シンプルだし、短くて言いやすい。まぁ、ダセェけどな。」 「なっ、何故その略称を知ってるの?後、ダサくて悪かったわね。」 「エクセキューショナーよりはマシさ。それに略称だけじゃないぜ。俺は何でも知っている。あんたらが俺に殺人の容疑をかけていることも、山本 久留美を張っているのも知っている。なんなら、あんたのスリーサイズも知ってるぜ、綾香さんよぉ。」 そこまでお見通しとは。それに何で私のスリーサイズも知ってるんだよ!! 「なら話は早いわ。一緒に署まで来てもらうわよ。」 「断ったら?」 「無理やり連れて行くわ。」 そう言って手錠をだし、近くに行こうとする私に 「いいのかよ、刑事がそんなことして。犯人は俺じゃねぇよ。」 きっぱりとエグゼはそう言った。 「そう言うことは署の取調室で言うことね。」 「犯人を知りたくわねぇのか?」 「何?あなたなら知ってるって言うの?」 「ああ。言っただろう?俺は何でも知っている。」 「じゃあ、誰か教えてもらいたいものね。」 そこでエグゼはニンヤリと笑った。ような気がした。 「その為にあんたをここまでおびき出したんだよ。あの堅物刑事が一緒だと発砲しかねないからな。」 そして 「犯人は山本 久留実本人だよ。」 衝撃の一言だった。
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