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プロローグ
「いつか、お前にも心から大事に想える人が出来たら良いな・・」
───あれは俺の本心だった。
ちょっと捻くれてて突っ張ってそうで
他人に正直で自分に不器用だった、俺の・・親友
「颯太?どうしたの?」
「いや、・・何でもない。」
画面の割れた、古い携帯から目を離す
部屋の片づけで出て来て、懐かしさに手が止まってしまった。
覚えているか?
お前の携帯にあった遥奈の番号
登録する気もないという苦し紛れの言い訳を飲み込むしかなかったあの時の俺達
言えなかった言葉も
伝えたかった気持ちにも不器用で
捨てるしかなかったこの携帯は
まるでお前の想いみたいで・・
あの日
帰ろうとした俺が見つけたお前の携帯
返す事も、見る事も出来ないまま
年月が経ってしまった
もう
遠い日の想い出──
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