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暖かさが心地いいけど買い物しよう、 カゴを取ろうとした時 「・・颯太?」 背後から声がかかって慌てて振り返る 女の声、 俺の事をそう呼ぶのは皆無に等しい、ただ・・ 「やっぱり颯太、久しぶり~!!」 記憶の中と違う女性の格好に一瞬戸惑った、けれど 決定的だったのが俺と視線の位置が変わらない事 「・・大河内、」 高校の同級生。 共にバスケで協力し合っていた、女子バスケ部のキャプテンだ 高校を卒業してからも同窓会もあったけど、今年は皆忙しいからと同窓会の開催はなかったし数年顔を合わせていない 「久しぶり。」 「颯太元気?」 「ああ・・、・・どうしてこんな所に?」 「ん?たまたまよ。寒いなあってコンビニ入ったの。」 俺の中で習慣の様に線を引く 俺だって四六時中自惚れている訳じゃない でも過去に告白されたことのある相手 言い方失礼かもしれない でもそんな面倒事、今の自分には全くいらないものだった 「偶然だねー、そういえば颯太の大学の側だったね。」 明るく笑う大河内 普通な前と変わらない口調 ・・気のせいか、警戒心はそんなに長続きしなかった。 「遥奈は元気?」 遥奈の話題にすぐ変わった大河内に胸を撫でおろす やっぱり、危惧することじゃない いつまでも人から好かれていると思ったら大間違いだ。 変な思想から抜け出したら気が楽になった 「ああ、元気だよ。忙しいのは相変わらずだけど。」 携帯を取り出す 大河内だって何年も会っていない俺の事なんていつまでも気にしている筈がない そう、人の心なんて 移ろいやすいものなんだから──
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