義理の姉弟の青春

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 その年の夏休みの或る日、隣の雅美の部屋から、「健ちゃん!ちょっとジュース持って来てくれない!」という大きな声が聞こえて来た。  健一は急いで自分の部屋から出てみると、「オレンジジュースでいいから!」とドア越しに雅美が言ったので嬉々として冷蔵庫のあるキッチンに行った。そして成るべく雅美と一緒に過ごそうとトレーに雅美の分だけでなく自分の分のオレンジジュースが入ったコップも載せて雅美の部屋に向かい、入るや否や半端でなく驚いた。なんと雅美がブラジャーとショーツしか身に付けていなかったのだ。  健一は雅美が高校生になってからプールで遊ぶとしたら友達とレジャー施設に行くようになって前述の通り自宅プールで遊ばなくなり、雅美の水着姿を見れなくなっていたから、その成長した肢体を大胆に露出した姿に驚かない筈がなかった。而もなよっと床に女ずわりして艶めかしい態でいるのだから健一は驚愕した瞬間、思わずうわー!と叫ぶと同時に手元が狂ってトレーを引っ繰り返してしまった。で、カーペットの上に二つともコップが落ちてオレンジジュースが全部こぼれてしまった。 「あーあーあ、駄目じゃない!健ちゃん!」 「だ、だって、まさか、そんな恰好で・・・」 「だって暑いんだもん!」  確かにエアコンを点けず窓を開け扇風機しか点いていないから暑いには違いないが、それならエアコンを点けて冷房しろという話である。それはそうと嗚呼、なんとナイスバディであることか。健一は当然の如く瞬く間に勃起した。そして目のやり場に困って例によって顔を赤らめながら兎に角、コップを片付けようとしゃがんでトレーの上に載せ、「えーと、このカーペット洗わないと駄目だよねえ」とカーペットに向かって言った。  すると、「そんなの後で良いわ。ねえ、健ちゃん!ど~お、私?」と雅美が声色を艶に装って言った。  健一はどきどきしながら雅美の方を見ようとしたが、躊躇して再びカーペットに目を落とした。「お姉ちゃん!からかわないでくれ!僕は弟だよ!」 「義理のね」そう言った切り雅美が何も言わないでいると、健一はどう反応していいか分からなくなったが、依然としてカーペットを見つめながら呟くように持ちかけた。 「お姉ちゃんは誰でもそうやって誘惑するんだろ」 「誰でもそうやってっていつもこんな格好してる訳ないでしょ」 「でもプールとか海とか行ったら・・・」 「安心して。私、ビキニになったことないの」 「えっ」 「私、ビキニデビューしたいから健ちゃんがどう反応するか試してみて自信を付けたかったの」 「た、試すまでもないよ」 「ふふ、そう、健ちゃんのお陰で私、すっかり自信ついちゃった」 「自信なんて端からあったんだろ」 「何、怒ってるの?やっぱりからかわれてると思ってるの?」 「お姉ちゃんは良いよな」 「何が?」 「惚けるなよ。そんな恰好してる癖に」 「怒らないでよ」 「あーあ、悩ましくっていけねえ。カーペット洗ってこっと」と健一がカーペットの端を掴んで丸めようとすると、「私がやるからいいの」と言いながら雅美は四つん這いになって健一に近づいて来た。それは胸と尻が丸々と膨らみ腹の引き締まった四つ足の白い肌をした美しい野獣のようだった。  健一は横目にそれを意識して引力で垂れた豊満な乳房に我知らず目が行った。それが余りにも刺激的で挑発的で蠱惑的だったから健一は気圧されて恥ずかしくなってさっと目を逸らしてカーペットを丸め始めたが、その手に雅美の繊手が添えられた瞬間、どきんとして手を止めた。 「私、からかってるんじゃないの。真剣なの」 「し、真剣?」 「そう、私、健ちゃんが気の毒で・・・」 「き、気の毒?」 「そう、だって健ちゃんが私のことを常に思っているのに私のことを常に信じているのに私は健ちゃんを余所に何度も経験して・・・」 「け、経験?」 「そう、でも健ちゃんは私のことを常に思っていて私のことを常に信じているから決して他の女と経験できないでしょ。でも私は・・・だから健ちゃんが余りにも可哀想だし、私が高校を卒業して志望の東京の大学に行くことになったら健ちゃんとずっと会えなくなるから私、健ちゃんに今の内に経験させてあげたいの」 「と、と言うと・・・」 「したかったんでしょ」と雅美は言いながら腰を下ろして健一にいざり寄った。「女は猫被ってるけど、男と同じでみんなスケベなの。そう告白したからには私、遠慮しないわ。健ちゃんも遠慮しないで」  雅美はコンドームを用意していた。彼女は元々弟思いだし、これまで健一の股間がもっこりするのを何度も見て来て、それが悉く自分に対する彼の一途な思いを雄弁に物語っていたから彼に初体験させてあげようと思ったのだ。で、健一の勃起した陰茎を生で見てびっくりした。それは今まで見た中で一番大きく期待を遥かに上回るものだったのだ。で、実際にしてみても健一は本能行動のように熟し、彼の全身から迸るような恋心が満腔の愛となって自分の体内に入って来る、その感触が、もっと言えば、性欲だけでなく感謝の籠った一撃一撃が、その大きさも相俟って無上のエクスタシーを彼女に感じさせた。この経験は彼女にとって一生忘れられない尊きものとなった。  思春期を共に過ごしてお互いの体の変化を敏感に感じて成長してきた二人は、性的に結びついたとも言えるが、ここに於いて雅美が健一一人に絞ろうと決意し、最早、姉弟の仲とは別物の裏切りようのない愛が芽生え、時を経るに従って深い絆で結ばれて行くのだった。  それと並行して雅美は健一と切磋琢磨して勉学にも励み、高校を卒業すると、志望通り東京の大学に進学した。で、忽ち学園のアイドル的存在となり、男子大生たちに持て囃されちやほやされたが、一途に健一を思っていた。そして夏休みに帰省して肩幅が広がり、筋肉が盛り上がり、眉弓骨が隆起し、背が165センチまで伸び、精悍になった健一と再会した。  久闊を叙した後、「男らしくなったし、大分大きくなったじゃない」あそこもと秘かに期待したらしい雅美。実際、久しぶりに健一としてみて、「これが欲しかったの!」と快哉を叫んだ。  雅美と盆踊りに行った時、もう背が伸びなくなった雅美とほぼ同じ背丈になったことに気づいた健一は、雅美の背を追い越すのは時間の問題だった。  雅美が東京へ帰ってから健一は当面の目標として雅美と同棲するべく雅美が入学した大学進学目指して力強く走り出したのだった。 
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