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緑色っ!
思わず声に出しそうになって、新橋美菜は慌てて目をそらした。胸に当てた手に心臓のドックン速めが伝わってくる。
「だ、大丈夫よ……だってまだ」
キイイ。ギイイ。行ったり来たりのきしむ音がする。……あれだ。いわゆるブランコという。通りすがりの民家の庭の手作りっぽいそれ。
美菜は青ざめ、急いで足を踏み出した。駆け出したいのだけど、いやいや、もし段差でも踏み外したら? うっかり大切なものを落としでもしてしまったら? 万が一の出会いチャンスをぶっ飛ばしてしまうことだって。
――だからいつも通り、慎重に歩を進める。
でも緑。ブランコ。ヤバい、あと1つ。その3つが揃ってしまったら――。
ふっかふかのストールを巻いたお姉さんが目の前を横切った。ふかふか。ふかふか、来たー!
思考が止まる。
美菜は、全速力で走り出していた。
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