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呂玖のこと好き。だけどその気持ちが二人のこの関係を壊してしまうのが、怖かったんだ。呂玖のそばにいられなくなるのも、呂玖のこと失うのも、全然私にはその勇気がなかったんだ。 そう思ったら、さっきとは違う涙があふれてきた。 そんで、いつの間にかになっていた呂玖の胸に飛び込んでいた。 「呂玖のばか」 「え?」 「私だって、…私の方が呂玖のこと好きだよ」そう伝えると、ふっと笑う声がして 「やった」と一度私をぎゅっと抱き締めたあと 「やったぜぇー!」と叫んでいた 「あっ!もう呂玖、しぃーっ!」 人差し指を、口に当てて呂玖に静かにするように促す。あまりの大声にここが外だと思い出して慌ててしまう。なのに呂玖は、 「何で?むちゃくちゃ嬉しいのに」 とか言いやがった。 いやいやいや、やっぱ安定のアホ。 「近所迷惑だから、ほらさっさと帰るよ」 私が手を差し出すと、呂玖はその手を恋人つなぎにつないで、私をリードして歩きだした。 何だかまだふわふわする。これって、呂玖と付き合ってるってことで、いいんだよね? なにも変わらないはずなのに、なんだかイケメン度がまして見える、幼馴染みの横顔をじっと見つめてしまう。 「なんだよ、照れるじゃん」 「あっごめん」 「もしかして、見惚れてた?」 なんか悔しい。だから無言で前を向く。 「見惚れてないし」何でもないように言う。 「えぇ俺こう見えて、わりと人気あるんだよ」知ってるよ 「だから?」心と言葉が全くうらはらだ。 「隣のクラスから見にきたりするんだよ?」 「へぇ」 「え?マジで反応薄くない?」 私の対応に本気で焦ってる呂玖。やっぱり変わらない。 単純でかわいい呂玖—。 「だって、私ずっと呂玖のこと知ってるし、見慣れてるから」 そう言って、余裕ぶって笑う。ほんとは、つないだ手にドキドキしてるのに。 「はぁ?俺もう高校生になるんだよ?まなの知らない俺だって、絶対いるよ」 そう言い切るところが、呂玖だなぁ。 「呂玖のことで、知らないことなんてないよぉ」 そう言い返す。 その瞬間ぎゅっとつないだ手が引っ張られる。 見上げた呂玖にドキッとする。 見たことのないような、色気のある表情で私を見つめている。 「なっ…!」戸惑う私に、 「やべぇ」と一言つぶやいて、あいてる手で口元を隠す呂玖。 「なんかむちゃくちゃ…まながかわいい」 …はぁ! 「いろいろしたくなっちゃう」 「ばっ 馬鹿じゃないの?!」 急に心臓がバクバク走り出す。何言ってるんだこの生き物は! たった今恋人になったばかりなのに、急に幼馴染をそんな目で見られるようになるの? つながれた手が熱くなる。 「あぁぁぁぁ!たまんねぇ」 呂玖は急に叫びだして、頭をぶんぶん振った。 「な なに?!」 そしてすぐに私をぎゅっと抱きしめた。 驚いて抵抗することも忘れてしまった私に 「ちょっとだけ…」と言った。 「俺、まじで頑張って勉強するから、一緒の高校行って、バンドやって、 むちゃくちゃまなのこと惚れさせるから」 「ふふ…そっか、楽しみにしてる」私もそっと呂玖の背中に腕を回す。 「それまで、何もしないから、」そう言って呂玖は私からそっと離れて、 私のことをしっかり見て 「1回だけ、ちゅーして」 と言った 「え …?」茶化そうとしたけど、呂玖があまりにも真剣な目をしてたから、 少し戸惑った。 「そしたら受験までむっちゃ頑張れるから」そんなかわいくおねだりされたら…私が断れないのわかってるよね…? そっと呂玖に背伸びして近づこうとすると、呂玖のほうから私のほほを包んで、唇を合わせてきた。変に冷静な私は、私と同じ年なのに、妙に大人びたキスに、呂玖はもてるからなぁとか考えてしまった。
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