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「ただいまぁ」 キスした後から、呂玖は吹っ切れたというかご機嫌だった。 私はまだドキドキして、親の顔見れない。ごめんなさいお父さんお母さん。 「遅かったなぁ」 お父さんが冷蔵庫からビールを出していた。 「義雄さん 奈々子さんちょっといいっすか」 呂玖の改まった雰囲気に、私もお父さんたちも視線を集める。 お父さんたちの前に座った呂玖。 座りなおしてキョトンとしてる両親。 「俺、まなと付き合います!」 いきなり単刀直入に言う呂玖 「え?」 お母さんがまさにハトが豆鉄砲食らった顔してる。 「一応きっちりしとこうと思って」 しばらく流れる沈黙 「…ダメっすかね」 ちょっとビビってるのは呂玖だけじゃない。 私にも耀太にも緊張が走る でもお母さんとお父さんから出た言葉は拍子抜けするものだった。 「今更?」ねぇとお父さんに問いかけるお母さん 「まだ付き合ってなかったのか?」 そういった後一瞬おいて 「まさかお前!」とお父さんが怒り出した 不意のことに身構える 「まなにてぇだしたんじゃあるまいな!」 「!そういうこと?え?そういう報告?」 と戸惑う両親に 「ち 違うそういうんじゃないから!」 と慌ててフォローした。 それなのに正直なのかバカなのか呂玖がいってしまう。 「そうっす。まだチューしかしてないです!」 「!!」 もう、めんどくさいなぁ 「やぁ聞いた?チューだってチュー」とはしゃぐお母さん。 ぐっとこらえているお父さん。 なぜか赤くなる耀太。 「もう!ただ普通に付き合うだけだから!」 恥ずかしさに耐えられなくて、呂玖の腕をつかんで立ち上がり、 部屋に行こうとすると 「おい」とお父さんに呼び止められる 振り返った私たちに 「節度あるお付き合いをしろよ」とにらみを利かせる。 「はっはい!」呂玖は勢いよくお父さんに頭を下げた。 「あ 手ぇつなぐのは…」すがるようにお父さんを見る呂玖。 もう、恥ずかしすぎる。 しかし、お父さんも無言で親指を立てて見せる。 何その『俺って渋い父ちゃんだろ?』みたいな顔。 そんで、お母さんもなんで『よしおさんすてきぃ』みたいな目で見てるの? 部屋に戻ったら呂玖が  「義雄さんやっぱかっけぇよなぁ」 と言っていた。 わからん。全員の思考がわからん。 先が思いやられるなぁ…。
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