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呂玖は私のどんな姿も知っている。 いや、別にやらしい意味じゃなくて、おしゃれしていない私も見慣れている。 だから、休日デートに何を着て行っても、それが“よそ行き”であることは明白で、中身(ほんとの姿)を知ってしまっている。 「何着てこ…」 りみちゃんたちのおかげで、クリスマスは午後から呂玖とお出かけすることになった。 「あんまり気合入れすぎてもなぁ、あったかい服装のほうがいいかなぁ」 いやダメじゃん、彼氏とクリスマスデートだよ。 「コンコーン」 「悩んでるぅ?」 部屋のドアをノックする音を口でだしながら、彼氏のお姉さんたちがやってきた。 「わぁ、二人ともきれー」 振り向いて、目に入ったりみちゃんとるみちゃんに思わず感嘆がこぼれてしまう。 二人もそれぞれの彼氏とデートだと聞いていた。そうでなくても美人な二人が、ドレスアップして普段の3割増しくらいのまばゆさだ。 「まなったら、」 「ありがと」 二人とも私の反応に、心底嬉しそうだ。 でもほんとにきれい…。 「まなは?」 そう聞かれて我に返る。 「まだ決まらない感じ?」 開きっぱなしのクローゼットを振り返って、こくりとうなずく。 二人を見てしまうと、余計何着ていいかわからなくなる。 「そんなことだろうと思って、」 と言って、二人は背中に隠してた紙袋を前に出した。 「何?」 そう聞く私に、二人は袋の中身を出してくれる。 「か かわいい…」 思わずにっこりしてしまう、大人かわいいミモレ丈のワンピース。 じっと眺めていると、 「これ着てくんだよ」 「ほらほら」と二人の着せ替えが始まった。 あれよあれよと着せ替えられて、髪の毛もメイクも施される。 「はい完成」るみちゃんりみちゃんは満足げだ。 姿見の前に連れていかれた。 「…はぁ」 馬子にも衣装ってこんな感じ? 自分の究極のよそ行きにドキドキする。 「これは、呂玖にはもったいない」 りみちゃんにそう言われて、なぜか恥ずかしくなる。 呂玖はなんて思うんだろう…。 「大丈夫、きっと呂玖、鼻血出すな」 私の心を見透かすように、二人は冗談を言って笑ってくれた。 「さ 私たちも出かけるし、まなも出かけよ」 「う うん」 そういった時階下の玄関が開く音がした。 「まなぁ」 呂玖だ。 少し心臓が跳ねる。 るみちゃんたちに促されて、コートを持って、階段を降りる。
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