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1階に降りると玄関に座り込んで手をすり合わせて温めている呂玖が見える。 呂玖の横をりみちゃんとるみちゃんが通り過ぎる。 「お ねえちゃんたちいたんだ」 呂玖は二人の背中を見送りながらつぶやく。 二人は呂玖を見た後、私のほうにちらっと視線を向けて、楽しそうに笑った。 「呂玖 ごゆっくり」と意味深な言葉を残して扉を閉めた。 その視線に誘われて、呂玖が振り返る。 そして、階段の途中の私と目が合う。 「お お待たせ…」 「…!お おう…」 一瞬で私の全身に視線を貼わせた後、もう一度私と目を合わせて、呂玖は黙ってしまう。 「へ 変かな?似合わない?」 何も言わない呂玖に不安になって、聞いてしまう。 「い いや、にあってるよ」ぽそっと言って、自分の手を見つめる呂玖。 何その反応。 いつもみたいににこにこ褒めてくれないの? そういうの得意じゃん。女の子の扱いなれてるのに、ちょっとそっけなくない? 「ねぇちゃんが教えてくれたカフェ行こうと思うんだけど いい?」 「あ うん」 なんだかぎこちない空気のまま玄関を出た。 コートを羽織っても少し寒い。さすがは12月。 でも 住宅街を抜けて大通りに出ると、流石にクリスマスカラーの街。かなりテンションが上がる。 しかも隣にはもったいないくらいかっこいい彼氏。 これは、ときめかないほうがおかしいシュチュエーションでしょ? 「なんか、緊張する」 「へ?」 突然発言されて、変な声が出てしまう。 「ほら、なんか…その、そういう感じ?」 そう言いながら、私を上から下まで見る。 「あ、あんまり見ないでよ、はずいよ」 「ご、ごめん」 何となくぎこちない。 「あのさ」 「ん?」 「手とかつないでもいい?」 はい? ナニコレ? なんかむちゃくちゃ彼女扱いされてて、 呂玖なのに、見慣れたはずの呂玖なのに、 意識してしまう。 「ダメ?」 あぁ、ダメだ。 これこれ、この顔に弱い。 「いいよ」 そう言って、手を出すと、 しっぽ振って喜んでくれる。 手をつないだら、幼馴染の感覚が戻って、 少し緊張がほぐれた。 「まな、何飲む?」 「まだ店ついてないのに、それ聞く?」 「えぇ―だって、楽しみじゃん」 「もう、とりあえずmenu見てからね」 そう言って、呂玖のほうを見上げる。 —!
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