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私は、如月茉那。
都奈津高校に通う高校生だ。
私の彼氏の吉仲 呂玖。
彼もまた都奈津高校の同級生だ。
私たちの出会いは、16年前。
そう私たちは、家族ぐるみのお付き合いをしている、お隣さん同士。
つまり、幼馴染だ。
昔、やんちゃをしていた父、義雄と母、奈々子の間に長女として生まれた私は、弟の耀太ともども、元気に明るく、そしてたくましく育った。
私より半年遅く生まれた、呂玖は、美男美女の夫婦、朔也と希実枝に似て、まるで女の子のようにかわいくて甘えん坊な子だった。
呂玖には、里実と琉実という双子のこれまた美人なお姉さんがいた。
私たち5人は、ほんとの兄弟みたいに仲良く遊んでいた。
少し年上のりみちゃんとるみちゃんは、私の憧れでもあった。
髪を結ってくれたり、かわいい洋服を貸してくれたりした。
大きくなってから、事の真相を聞かされる。
「確かに呂玖はかわいいんだけど」
「やっぱり、本物の女の子にはかなわないんだよねぇ」
どうやら、私は二人の『着せ替え人形』だったみたい。
でも、今でもお買い物に連れて行ってくれたり、メイクのアドバイスもしてくれて、私にとってはいいおねぇさんだし、ウィンウィンってことかな?
保育園ではもっぱら、私は耀太のお世話係だった。と言いたいところだけど、
耀太は生まれ持ってのカリスマ性とでもいうのか、すぐに保育園での地位を確立して、早々に姉の手を離れていた。
でも、私にはきちんと役割があった。
そう、『呂玖のお世話係』。
今でも保育園の先生に会うと、言われてしまう。
「呂玖君は、いっつも茉那ちゃんの後ろにくっついてたわよね」
「トイレもご飯も、お遊びやお支度も、先生通り越して、まずは茉那ちゃんに報告してたもんね?」
「ほんと、茉那ちゃんは呂玖くんのおかぁさんだったね」
はぁ…。このころから私しっかり『おかん』だったのね。
でも実際、呂玖が困ってたらほっとけないし,呂玖が泣いてたら助けてあげちゃうし。私がそばにいるから、いつの間にか呂玖を泣かせるようなやつは、いなくなってたってのも、よくなかったかなぁ(;^_^
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