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ふわっと呂玖の香りに包まれて、 どさっと呂久の手からペットボトルが落ちた音がした。 「バカだなぁ。 せっかく俺の檻から出してやったのに。」 頭の上から呂玖の声が降ってくる。 やばい、私呂玖に抱きしめられてる。 全身が心臓と一緒に波打つ。 「俺、やばいんだよ。 まなのこと好きすぎて、 ダメにしちゃうかもなのに…。」 かすれた声に、呂玖の表情が目に浮かぶ。 あぁ笑ってる。 「本気出しちゃう前に、 まなから離れたかったのに。」 「バーカ」 私は呂玖のシャツに鼻を擦り付けた。 「あんたの本気くらいいくらでも受け止めるっていうの。 幼馴染なめんなよ!」 そう言って、私も呂玖の背中に腕を回す。 あぁ、落ち着くな。 一瞬で、会えなかった時間が埋まっていく。 「まぁ、収まるところに収まったってことだね」 手をつないで帰ってきた私たちを、 りみちゃんちの娘ちゃんに見つかった。 「マァマァ、ろっくんが女の子と手ぇつないでる!」 私たちを目撃した瞬間。 一瞬固まって、玄関に駆け込んでそう叫んだ。 如月家にもその声は届いたらしく、 耀太とお母さんもにやにやしながら出てきた。 なんかはずい。 「やっぱここはニコイチだよね」 耀太も呂玖のご両親もなんだか嬉しそうだった。 「いやぁ、うちもそう遠くないうちに、 お祝いがあるかもしれないわね」 「そうね 私たちも江戸褄(えどづま)用意しとかなきゃね」 両家の母親が話し合っている。 「もう泣かせんなよ」 「任せてください」 うちのお父さんと呂玖の師弟関係は、 いつまでも続いているようだ。 こうして、私たちは無事、 もとさやに納まることができた。
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