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「荷物少なくね?」 耀太に言われて、 バック一つを背負った呂玖。 「だって、まなんちみんな揃ってるし」 呂玖が私のアパートに引っ越してくることになった。 「呂玖君顔にやけすぎ、やらしぃーわー」 耀太にからかわれて、 本気で真っ赤になってる。 「耀太、からかいすぎ」 「ちょっと寂しい感じがするわね」 呂玖のお母さんが言う。 「ママは、孫もいるんだから、寂しがってる場合じゃないわよう」 りみちゃんが娘ちゃんを抱っこして笑っている。 「そうね。呂玖、まなちゃんに嫌われないようにね」 なんてかわいいおばあちゃんでしょう。 「そんな遠くないし、すぐ帰ってこれる距離だから」 「いや、そんな帰ってこなくてもいいよ」 呂玖のお父さんも意地が悪い(笑)。 「じゃ、行ってきます。」 みんなに見送られて、私たちの部屋に帰る。 「ただいまぁ」 「なんか変なの」 アパートについて呂玖が『ただいま』というのは不思議だ。 「違う違う、"お帰り"でしょ?」 「あぁはいはい、おかえり」 そういうと、ぎゅっと抱きしめてくる。 やっとここまで来た。 そんなことを実感する。 私たち同棲するんだなぁ。 不安がないと言えばうそになるけど、 やっぱりうれしい。 「今夜は、ちょっといいお酒のまない?」 「いいねぇ」 引っ越し祝いに買ったワインがあるから、 デリバリーとワインで、二人きりでお祝いをする。 「耀太にはああいわれたけど、 ほんとは俺、いろいろ妄想しちゃってやばいかも」 「はぁ?」 面と向かって言われると照れる。 周りのイメージは、呂玖って、女の扱いに慣れてそう、 って感じだけど、 実際どうなんだろう。 拓哉君は、私以外とは、付き合ったことないって言ったけど、 ほんとのところは? 付き合ったことなくても、 初めてではないんじゃない? 事実、2年のブランクあるし。 いやいや、私もエロいこと妄想しすぎでしょ? ちょっと自嘲して、呂玖の荷物の片づけを手伝った。 「乾杯」 「…あぁうまい」 ワインは大当たりだった。 デリバリーした料理もおいしくて、あっという間に平らげてしまった。 「お風呂入って、テレビでも見る?」 「うん、そうしよう」 「…、一緒に…」 「入りません!」 いくら何でも、恥ずかしすぎるでしょう。 もう。 少し、しょんぼりとお風呂に入る呂玖を見送る。 こんなこと、何度もあったし、 湯上りの呂玖なんて見慣れてる。 なのに、なんだか、ドキドキしてしまう。 「お先に、まなも入っておいで」 「あ、う、うん」 呂玖と交代でお風呂に入る。 出るときに何となく、 下着とかスキンケアとかに気を遣ってしまう。 何意識してるんだろう。 ちょっと恥ずかしくなる。
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