17

2/2

20人が本棚に入れています
本棚に追加
/45ページ
「カンパーイ」 演奏を終えて、 拓哉君と呂玖が私たちの席に来て、 打ち上げが始まる。 「なんか制服で酒のむとか罪悪感」 可愛いけど、馬鹿正直な感性。 拓哉君は、 「この背徳感がたまらん」 とか言ってる。 「いや、よかったね久々に」 若干汗ばんだ呂玖が、 私の肩に腕を回す。 「なんか、最近こうやって、彼氏感出してるよね」 知紗子が突っ込む。 「えぇだって彼女だもん」 ギュっと抱き寄せられる。 「"もん"って、」 「まぁ昔から独占欲すごかったしね」 「そうなの?」 「俺がまなちゃんと話すのも、かなりにらんでたもんな」 拓哉君が思い出して、身震いする。 「何なら、俺、千沙ちゃんにも、やきもち焼いてるし」 「え?何で?」 「だって、まなって、ちさちゃんには割と何でも話すじゃん」 「まぁ確かに」 「それに、一緒に銭湯言ったり、温泉行ったり、 それって、裸の付き合いしてるってことでしょう?」 「…!!!ちょ、ろ 呂玖!」 何を言い出すのか…。 「そりゃそうだよ、全裸ではいるし」 いやいや、知紗子もにやにやしながら何言ってるの? 「あれ?吉仲は、まなと一緒にお風呂はいったりしないのぉ?」 もう完全にあおりですよね? 「…な、なくはないよ」 「いや何言ってんの!」 恥ずかしくて思わず突っ込んでしまう。 「「あるんだぁ、ヤラシイィ~」」 拓哉君と知紗子がにやにやしてる。 「もう、呂玖はよけいなこといわないの!」 「だって、ちさちゃんが…」 「知紗子も煽らない、呂玖はほんとにバカなの知ってるでしょ?」 「だって、面白いんだもん」 本当に二人とも…。 「でも、まなちゃん大人になったら、 高校生の時より魅力的になったよな」 「は?」 拓哉君の発言に、 呂玖が固まる。 「あぁ確かに、なんか色っぽさというか、 品性があるってのもあるし、 うまく言えないけど、雰囲気あるよね」 知紗子が喋れば、つられてそちらを見る。 「呂玖は心配が絶えないなぁ」 いやいや、みんな見慣れてるけど、 呂玖ってすごいイケメンなんですが。 「あ、今“呂玖ってすごいイケメンだから、私のほうが心配” とか思ったでしょ?」 知紗子に言われて、今度は私がドキッとする。 そんな私の反応を見て、呂玖が 「ほんと?俺イケメン? 心配しなくても俺、まなだけだよ?」 とまくしたてる。 「それより俺のほうが心配だよ、 タク、てめぇまなのこと変な目で見るんじゃねーよ!」 呂玖は、拓哉君をにらむ。 「吉仲、大丈夫だよ」 そんな呂玖を見て、知紗子が言う。 「ほんと?」 「まなさぁ“さっきの呂玖のドラム最高だった、 とけちゃいそう”って思ってるよね?」 なになに?知紗子ってなんかそういう能力の持ち主? きょどっている私を見て、 「ほらね?あんなの見せられたら、 まなはもう吉仲しか見えなくなっちゃうんだよ」 おっしゃる通りです…。 私の隣で、呂玖がニコニコして、 「よし、タク、たまに制服で演奏()ろうゼ」 と張り切っていた。
/45ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加