Voices

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     まだ冬の気配を残している3月1日、仙台駅から徒歩5分の場所にある比較的小さな店舗で俺は自分の耳を疑った。 「今……何と申した?」  あまりの衝撃で日本語まで怪しくなっている。 「だから、私辞めることにしたのよ。それでね、ほら、此処の店って流行る割には小さい店舗でしょ?だからね、本社の指示で今いる……おーい、真琴くん、まっこー?聞いてる?」  逃げ出したい。今すぐに此処から逃げ出したい。  辞めると断言した松下店長は俺の顔の前で手を振る。 「まっこー、あなた店長になるよー!おーい、聞いてるかー」  古内真琴25歳、店長なんて無理です。
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