好意をむけられて

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 一平とはじめて一緒に遠出した日の夜。ソファに座って、スマホで撮った写真をスクロールする。楽しかった余韻に浸っていると、ものすごい勢いで罪悪感に(さいな)まれた。  優奈とかわした約束の場面が、何度も何度も頭の中で繰り返される。  あまりのことに目を瞑ると、悲しそうな優奈がわたしの前にあらわれた。磔にされたように身動きが取れなくなる。  『私は一平くんと、もうでかけられないのに、よくそんな風にでかけられますね』  『先輩、あの約束は嘘だったんですか?』  嘘じゃない、うそじゃないよ。優奈、ごめん、悲しいよね、苦しいよね。私が一平を好きになることなんて絶対ないから。ぜった、い……。  バッと目を覚ますとソファにバタンと突っ伏して泣いていた。  夢……。でも、そうだよね。優奈はもう、一平とは出かけることはできない。怒るのも当たり前だ。  もう、一平とどこかに一緒に出かけるのはやめよう。仕事のあと、飲みにいくのも行かないようにしよう。  肥沃な大地の奥底で生まれて、確実に育ったその感情。それがいまにも芽生えようと、土を押し上げている。  その感情を、私が持つのは許されない、あの約束が嘘になってしまう。まるで呪いのようなその感情の芽を、ひたすら摘み取ることを繰り返す。  少しずつ、一平が特別になっていく。それがとても怖かった。
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