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こうしてお互いの休みが合うことは、月に一度あるかないか。私はなんとなく勤務表を見て、一平と休みが合う日は予定を入れないようになった。
い、一平のことが好きなんじゃないからね!! ただおいしいものに釣られてるだけなんだから。
一平の運転している姿は見ていてとても美しいと思う。端正な横顔でハンドルをさばく姿は思わず見惚れるほど。
「何見てるんですか? 俺のこと好きになってくれました?」
「ち、違うよ」
「あーあ、いつになったら、好きになってくれるのかな。こんなに涼香さんのこと好きなのに」
「──っ!!」
こんな調子で、ちょいちょい好きだのかわいいだの、歯の浮くようなセリフを挟んでくる。
誰かを好きになったこともない私は、このときめきの正体に気がつきつつも、それを認められないまま、悶え苦しんでいた。
一平といると、心臓がこわれそうだ。高血圧かもしれない。心配になって血圧計を買ったけど、むしろ低血圧で頭にはてなが浮かんだ。
「あ、一平。あそこのスタバのドライブスルー寄って」
「こんどは俺がおごりますからね」
「だから気にしなくていいって。この前も交通費受け取ってくれなかったじゃん。飲み物代くらい私が払う」
一平はアイスコーヒー、私はソイラテを注文した。
「ごちそうさまです」
「いいよ、運転よろしく」
「はい! おまかせを」
くすくす笑いながら、一平は高速道路を走らせる。
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