好意をむけられて

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 「そういえばきのう、梅雨明けしたらしいですよ」  「そっか、もう夏だね」  「夏といえば大垣の水まんじゅうですね」  「くーっ! いいね、水まんじゅう!!」  「行きたいとこあれば、言ってくださいね。どこでも連れていきますよ」  「どこでも? じゃあ、京都いきたい。出町柳の豆大福」  「いいですよ、せっかくだから泊まりで行きますか?」  「ひぇっ、とっ、泊まり!? じゃあいい……」  「えー、なんで!?」  「そ、それはまだ早いよ……」  「まだ?」  「っっ!!! ばか!!」  ソイラテをがふがぶと飲み干して、その場をごまかす。一平はけらけら笑ってうれしそう。もう、泊まりなんて無理だよ。何言ってんだか。  でも、いつかそういう日もくるのかな。もしかしたら相手は一平なのだろうか。そう思うと顔から火が出そうだった。  やまと屋さんの開店30分前にお店の駐車場につく。さすがの人気店。平日にもかかわらず、もうすでに10人ほどが列を作っていた。  一平の完璧なエスコートで車を降りると、山あいの豊かな自然が目に入る。あー、やっぱ自然はいいな。  
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