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「ただいま。父さん、母さん」
「おかえり。おや、チャロア。どうしたの」
「なんだか元気がないね」
学校から帰ったチャロアを見て、お父さんとお母さんは心配そうにたずねた。
「ねえ、サンタクロースさんになりたいって夢は、おかしなことなのかな」
チャロアはだんろの前にすわると、ぽつりとつぶやいた。
「みんなに、『そんなのなれっこない』って笑われたんだ」
お父さんとお母さんはチャロアに寄りそうと、やさしくほほえみかける。
「ちっとも、おかしなことじゃないよ。りっぱな夢じゃないか」
「そうよ。すてきな夢だと思うわ。チャロアはどうして、サンタクロースさんになりたいと思ったの?」
チャロアは、去年のクリスマスのことを思い出していた。
子どもたちは、クリスマスの夜は町の広場に集まる。大人たちも、広場へ集まる。この日だけは、学校も仕事もお休み。
広場の真ん中には、大きなクリスマスツリーがある。
子どもたちはおどったり歌を歌い、大人たちもそれを見守る。
そして子どもたちは、学校で教わった光を灯す魔法で、ひとり1つずつ、ツリーに光を灯していく。
すべての子どもが光を灯し終え、12時になると、教会のかねが鳴る。それが、サンタクロースさんがやってくる合図だ。
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