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サンタクロースさんは遠い空から広場へおりてきて、子どもたちにプレゼントを渡してくれる。
「メリークリスマス、チャロア。きみはがんばりやさんだから、これをあげよう」
「わあ! サンタクロースさん、ありがとう!」
チャロアがもらったのは、新しい魔法の杖だった。とてもきれいな、みどり色をしている。
「チャロア。きみはきっと、すてきな魔法使いになれるよ」
サンタクロースさんはそう言うと、チャロアを見つめる。
白いかみに白いヒゲ。はたらきものの、ゴツゴツとした手。白くて太いまゆげの下で、やさしい目が笑っていた。
勇気をもらったクリスマスを思い返しながら、チャロアは口を開く。
「父さん、母さん。絵本の中の人は笑っているのに、この町の人はみんな、なんだか元気がないんだ。でも、サンタクロースさんが来た時だけは、子どもも大人も、みんな笑顔になる。だからぼく、みんなを笑顔にできる人になりたいんだ」
真剣に話すチャロアを見て、お父さんとお母さんはにっこりと笑った。
「それは、とってもすばらしいことだわ」
「そうだな。チャロアらしいね」
「へへっ」
チャロアはうれしそうに笑った後、ふと首をかしげた。
「でも、みんなどうして元気がないのかな?」
その時だった。
「町から、魔法が消えてしまったからだよ」
しわがれた声が、後ろから聞こえた。
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