チャロアと99人の魔法使い

7/15
68人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
 おどろいてふりむくと、ドアの(まえ)におじいさんが立っていた。 「イオラおじいちゃん!」 「あら、こんばんは。イオラさん」  (かれ)は、仲良(なかよ)しのご近所(きんじょ)さん。105才(ひゃくごさい)の、元気(げんき)なおじいさんだ。チャロアのことを、本当(ほんとう)(まご)のようにかわいがっている。 「チャロアが元気(げんき)()になって、()いに()たよ」  イオラおじいさんはやさしくほほえむと、(むかし)のことを(はな)(はじ)めた。 「わしが子どもだったころは、この町には魔法(まほう)があふれていた。子どもも大人(おとな)も、みんなが()たり(まえ)のように魔法(まほう)使(つか)えた。魔法(まほう)使(つか)って商売(しょうばい)をする人がほとんどだった。でも、いつからか、大人(おとな)魔法(まほう)使(つか)えなくなっていった。わしも大人(おとな)になってしばらくたってから、魔法(まほう)()えてしまった。()ぼうと(おも)っても空を()べないし、魔法(まほう)使(つか)(かた)がわからなくなってしまったんだ……」  (はな)しながら、イオラおじいさんはさみしそうに(わら)っていた。 「魔法(まほう)が使えなくなった大人(おとな)たちは()ちこんで、自信(じしん)希望(きぼう)もなくしていった。子どもたちも、いつか魔法(まほう)()えることを知って、がんばることをやめた。そうやって人々(ひとびと)魔法(まほう)(ちから)(よわ)くなっていき、町からはにぎわいも光も()えた。(いま)ではすっかり、(くら)い町になってしまったよ」 「そっか。だから、みんなは元気(げんき)がないんだね……」  イオラおじいさんの(はなし)()いて、チャロアはうつむいた。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!