【……うん】

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【……うん】

「……うん」 「でね、そのあと莉子がって……聞いてる?」 「……うん」 「じゃあ、何の話してたか言って」 「……うん」  目も合わせずにスマホをいじる彼と、口をつぐむ私。  私・速水(はやみ) 結菜(ゆいな)は、ファーストフード店の一席で、()ね始めていた。  クリスマスが近づいているせいか、周りでは恋人たちが談笑している。  友達同士の私達が、なんだか場違いな気がしてきてしまう。  私は、残ったパンケーキにプラフォークを刺して、口へと運ぶ。  すると彼も、すっかり冷めた残りのポテトを、つまんで食べ終えた。 「そろそろ帰ろ?」 「……うん」 (私もゲームのキャラクターだったら、夢中になってくれたのかな?)  なんて、どうでもいいことをぼんやり考えていると、 「あ、俺がやるから」  彼はそう言ってトレイを掴み、ゴミを箱の中に押しやり、箱上に置く。  そうして私に合わせたような歩幅で、少し先の階段を降り始める。  同じ身長になった彼に、 「ありがと」  私はちいさく、呟いた。 「うん」  優しいのか冷たいのか、不思議な彼。私はどうして、彼を好きになってしまったんだろう。
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