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【うん】
「少し、寂しくなった」
ヘッドセットごしに、彼の切なそうな声が響く。
「うん」
今度は私が『うん』の番。
「俺も、もっと話したくなったから、その……」
「うん」
彼が本当は寂しがり屋なのを、私は知っている。少しかわいそうになって、『うん』の役を降りることにした。
「ね、愛してるゲームって知ってる?」
「うん」
「私と勝負しようよ」
「え、でも」
「ゲームに負けるの、いや?」
「うん」
クスクスと笑いながら、私は最近見つけた罰ゲーム用の歌詞(『恋愛シーソー早口ワー(ル)ド』P4.参照)を、こっそりとブックマークから開く。
「これを歌いあって、笑った方が負けってことにしようよ」
緊張しながらURLをチャット欄に貼ると、クリック音のあとに、椅子から落ちるような音が響いた。
「……大丈夫?」
しばらくすると、
「これ、愛してるゲームじゃない」
悲鳴に近い声が聞こえる。
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