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【うんっ!】
「好き好き好~き、好~き好き、愛してる♡」
私は、心臓をバクバクさせながら歌う。声、震えてないかな?
「好き好き好~き、好~き好き、愛してる」
負けず嫌いの彼も、なんだかんだで歌い続ける。
言葉を聞くだけで胸中に幸せが溢れて、暖かい気持ちが私を優しく包む。
このまま、このまま時間が止まればいいのに。
「好き好き好~き、好~き好き、愛し、て、る……」
歌っている内に悲しくなってきて、私はハッキリと歌えなくなっていた。
「俺もだ」
「──⁉」
「歌……詞、違うよ?」
「うん」
「私から、かってたんだよ?」
「勝たれてないし俺は負けてない」
「わた、わたし、わがままで卑怯な……んだよ?」
「うん。それでも好きになったんだ。付き合ってください」
「は、い……」
「そこは、『うん』だろ」
彼の笑い声が、心底楽しそうに私の耳を包む。
「うんっ!」
私は、運が尽きないように祈りながら答えた。
『うん』が口癖の彼と私 了
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