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【最終回】作戦勝ち。 (※R18描写あり)
「あ、あ、ん、んん…っ」
「凛くん、凛、好き、好き…。」
両手を拘束され、ひたすら足ばかりを責められた。
10本の足指を1本ずつ、数分ずつは舐め、食み、しゃぶる、吸う。
まるでそれが性器であるかのように。
足首を舐めあげては、ふくらはぎに愛しげに頬擦りをして、太腿には執拗く吸い付き鬱血痕を満遍なくつける。
この辺りの筋肉の付き方がそそるとか、足首のくびれ方がエロいとか、時には篠井は俺の脛にペニスを擦り付け、自分の白濁で俺の足を濡らす。
そして、足に射精されて感じている俺を見ながら悦に入るのだ。病気だ。
地球上に俺くらいじゃないのか、こんなに足にキスマをつけてる男なんて。
毎日毎日、足ばかりを嬲られ、ねぶられ、最初は擽ったさと気色悪さともどかしさばかりだったのが、何時の間にか敏感になり、性感帯にされる。
とうとう足を愛撫されてるだけでペニスが張り、ダラダラと先走りを垂れ流すようになってしまった。
俺の体が篠井に作り替えられていく。
それも、かなりヤバい方向に。
俺は焦った。
「何でそんなに、足ばっか…。」
ある日、耐えられなくなり俺は聞いた。
すると篠井は、
「だって、足を性感帯にしちゃえば、そこをこんなに可愛がれる俺から離れられなくなるでしょお。」
と、笑ったのだ。
ゾッとした。
次は腋らしい。
腋ってなんだ。
腋をずっと舐めたり吸っ
たりすんのか。
倒錯的どころの次元じゃなくなるぞ、もう。
「愛撫するのを嫌がる人が多い場所を重点的にしていこうと思ってさあ。」
篠井は俺の体をぬるま湯で濡らしたタオルで拭き浄めながら、
「でも案外、少ないんだよね、そういう場所って。
凛くんの体はどの部位でもご褒美だしさあ。」
と抜かした。
部位…。
「他の奴では物足りなくなれば、俺の価値が凛くんの中で少しは上がるでしょ?
そうしたら、俺の事も、好きになってくれるよね。
そんで、俺の子も産んでくれるよね。」
そう言って俺の硬い腹を撫でて微笑んだ篠井の目はやはり澱んでいて、俺は何も言えなくなった。
篠井は甲斐甲斐しく俺の世話をする。
2日に1度は風呂にも入れてくれるし、食事は簡易なものが多いけれど、肉や野菜のバランスは悪くない。それを手ずから食べさせてくれる。
手の拘束を解く事は無い。
更に、篠井が長時間俺から離れる事も無い。
食料の調達はどうしているんだろうか。
篠井は時折、口癖のように呟く。まるで俺に言い聞かせるように。
「俺ね、幸せだよ。
今が一番、幸せ。
誰にも邪魔されないもんね。余計な余所見する暇もないくらい、凛くんを見てなきゃいけないし。
もし…もし、凛くんが居なくなっちゃったら、俺…」
ーなにするか、わからないよ。ーー
篠井は暗い目で微笑って、今日も俺の身も心も縛る。
逃げようと思えば、逃げられるのだ。
手枷の造りはチープで、足枷も無い。
見たとこドアの鍵だって壊せなくもなさそうだし、それに…手が使えなくても、足が使えれば十分篠井1人くらい倒せるのだ。
けれど、それが出来ないのは、俺が逃げた後、彼奴なら本当に何か仕出かすと確信があるからだ。
それが篠井自身に向くのか、無関係な他人に当り散らすように向くのかがわからないから怖い。
…いや、篠井がどうなろうと構わないじゃないか。
…でも…。
俺は、篠井に毒されているんだろうか。
それとも、実は心地よく思っているのだろうか、
篠井が俺以外の誰かと何処かに行く事の無いこの状況を。
純粋に俺一人だけしか篠井の世界に存在しない、俺だけを見て俺だけを独占したがるこの男を、俺は…
(愛してでも、いるってのか…?)
いやそれはねえだろ。
そんな馬鹿な。
そんな筈が無い。
この異常な状況に脳がバグを起こしているだけだ。
会社ももうどれくらい休んでいるのか。1週間は経っていそうだ。
疎遠気味の家族はともかく、そろそろ上司や井上辺りが騒ぎ出しそうな気もする。
「俺、どうしたいんだろ…。」
俺はスウェットの上だけを着せられて剥き出しになった、鬱血だらけの足を見ながら溜息を吐いた。
篠井がマジでイカレちまったのかはわからないが、どの道彼奴はもう俺を離さないんだろうって、そう感じる。
俺は戻れないとこ迄連れて来られてしまったのかもしれない。
だって、篠井の言う通り、
こんな性癖つけられちゃ、他の誰とも寝られやしねえ。とんだド変態だ。
彼奴の作戦勝ちだ。
「俺に変な癖、付けやがって…。」
足を弄られなきゃ、イケないなんて。
篠井を選ばなきゃならなくなるじゃねえか。
篠井のせいで。
篠井のせいだ。
だから。
「俺は悪くない。」
体に染み込まされた欲と情にまんまと引き摺られて、例え此処から一生、逃げださなくても。
俺をこんな風にした、お前が悪い。
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