ラボ上がり

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ラボ上がり

「キミが我が若葉病院に配属されて嬉しいよ!医師の方の腕前も好評らしいからね!」 僕、鈴木航は、流行り病のワクチン研究に没頭して、実際開発していた大学院卒業後、医師になりました。 そして、地方の病院で勤めてましたが、都内でも心臓外科で好評の大学病院に移りました。 今日から心臓外科医として勤める事になっています。 「ありがとうございます。宜しくお願いします」 医長に握手されながら、歓迎の言葉を掛けられた僕は、手を握られたまま、もう片方の手でメガネを抑え頭を下げました。 「うんうん。じゃあ、早速だが回診に加わってもらおうかな」 「かしこまりました」 回診の医師に付いて行く為、僕は医長室を後にしました。 他の医師達の元へ向かっていると。 その時、1人のまだ若い男性が母親らしき女性に連れられ、看護師さん達に見送られる光景を見ました。 「透くーん!退院おめでとう!」 「もう戻ってきちゃダメよ!」 「「有難うございました」」 頭を下げ、看護師さん達に背を向けて歩き出した親子と思われる後ろ姿を見て、僕は思いました。 心臓病で苦しんでいる患者さん達が、ああして少しでも社会復帰出来ますように、と。 僕は回診に遅れないように、急ぎました。
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