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浜崎透
俺は続けた。
「だが、心臓病を患っていて入退院を繰り返しているらしい」
「心臓病…ですか?」
自分の専攻だからか、鈴木が箸を止める。
「ああ。しばらく来ねーと思ったら、雅の話によると先日まで入院してたんだと」
俺の言葉に鈴木はしばらく考え事をしてたようだが、やがて言った。
「病室で出会わないことを祈ります」
「ああ。でも雅の話じゃ、奴…透には小せー頃からの夢が有るらしい」
「発作が起きなきゃ叶うんじゃない?」
詳しい事を知らねー山村が呑気な事を言う。
「ああ…でも、その夢って言うのが、マラソン大会に出場することだとさ。心臓に1番、負担が掛かる。叶うのは難しいだろ」
俺は日本酒をクイっと飲んだ。
「確かに…気の毒でしょうが無理でしょうね」
「死にたかったら走れって感じだよな」
何より、ここ2、3日、あの雅が朝5時起きして、店の仕込みを休んで一緒に走る練習してるってーから、余計に面白くねー。
「そうならない為にも、1度、僕の勤める病院に相談に来る事をお勧めします」
鈴木はそう言うと、懐から名刺を取り出した。
「夢が叶わないって辛いけどね…」
山村の言葉も解るが死んじまったら終わりだ。
俺は名刺を手に取り、見てみる。
ん?
この病院って確か…。
「つい先日まで透が入院してた病院じゃねーか」
「「本当?!」ですか?」
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