13人が本棚に入れています
本棚に追加
話
「嘘ついて、どーするんだよ。雅が何回か店が休みの日に見舞いに行って、透の母親とも知り合ったって言ってたから間違いねーな」
「そうだったんですね…。雅さんも辛いでしょうが、命には代えられません…」
「夢が叶った僕達は、とても幸せなのかもしれないね…」
「貴方…」
「あー、あと父親は単身赴任で共働きらしいとも言ってたな」
その時、ガラガラと出入り口が開いて、暖簾をくぐった客と思われる団体が顔を出す。
「「いらっしゃい!!」」
客の応対に追われる山村夫婦。
「雅が透と連絡先を交換してる筈だ。帰ったら、この事は雅に話してみるさ」
「宜しくお願いします。ドクターストップが掛かれば彼も諦めざるを得ないでしょう」
俺は鈴木の名刺を胸ポケットに入れると日本酒と、それから車で酒が飲めねー鈴木とは、マグロの刺身を堪能した。
店=家に帰ると、丁度タイミングよく雅が出てきたところだった。
「お帰り、お父さん!お母さん、今、お風呂に入ってるよ」
「そうか。雅、話がある。リビングに来れないか?」
「うん、大丈夫!」
俺等はリビングに向かい合わせで座る。
そして、さっきの山村亭での話を切り出した。
「雅、ここ2、3日の朝の事なんだけどよ…」
雅の表情が明らかに強ばる。
最初のコメントを投稿しよう!