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私、千夜雅は、お父さんが何を言おうとしているのか、大体の予測が付いた。
私の彼氏の浜崎透くん。
心臓病を抱えていて、でもマラソン大会に出場したいって夢を持っている、高校時代から休みがちな男の子。
最近…と言っても、つい数日前まで入院してたから、ここ2、3日だけど、私はお店の準備を休んでた。
彼と朝、一緒に軽くランニングしてたからだ。
彼の夢を叶えたい。
その一心で。
でも、その分、お店の負担がお父さんや従業員さん達に掛かっているのは私も解っていた。
きっと反対される…。
そう思って、椅子に座った私の目の前のテーブルの上に、お父さんが名刺?らしきものを差し出した。
見ると、浜崎くんと出逢う前、友人の桜子さん達とファンクラブを作って騒いでいた鈴木研究員の名刺だった。
あれ…?
でもよく見ると、名刺にはつい先日まで浜崎くんが入院してた病院の名前が印刷されている。
鈴木研究員、帰ってきてたんだ!
名刺を両手に取り、見つめる私にお父さんは言った。
「透に1度その病院でマラソン大会出場の事、相談する様に言え」
見るとお父さんは今までに見た事無い位、険しい表情をしていた。
ハッキリ言って…かなり怖い。
でも、目を逸らしながらも私も負けじと言った。
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