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「百瀬ー!……もーもちゃんっ!」
「ももちゃん言うな」
肩を組まれてその腹をぶん殴る。
「お前が反応しねぇからだろーがっ!」
腹を大袈裟に押さえて中学から一緒の迫田は喚いた。
うるさいそんな迫田を無視して俺はコートのポケットに両手を突っ込んで歩き出す。
「どった?不機嫌じゃん?」
すぐに復活して真横に並んだ迫田に顔を覗き込まれるが、俺はそのまま足も止めずに歩き続けた。
「んー?テストそんな悪かった?」
「別に」
「腹減った?」
「別に」
「まさかっ!」
パッと両手を広げて口元を隠した迫田を睨む。
どうせロクなことを言わないから。
「フラれたかっ!!」
迷いなくその尻を蹴り飛ばすと、さすがの迫田も呻いて黙った。だが、
「……マジで何?」
数秒経つとすぐに口を開く迫田にため息しか出ない。
こんなお気楽野郎でも、志望校決まってるとか……インテリアデザイナーなんてどの口が言ったんだ!?って昨日衝撃過ぎてそれ以後の記憶がない程だ。
「ももー、帰りコンビニ寄ろうな!ラーメン食いてぇ」
かばんを背負って自転車を出した迫田をただ見ていると、跨がって振り返った迫田と目が合う。
「もも?お前、マジ何なの?」
いつも一緒に部活して「ヤッベぇ!何も考えてなかったっ!!」って笑ってた迫田はもう居ないらしい。
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