無限……

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無限……

「悩んでるのって……それ?」  近づいてくる眞野から全力で逃げたいのに指先さえ動かない。 「進路迷ってんの?」  眞野は俺の腕を握ると、そのまま歩き出した。 「ちょっ!おい!」  やっと出た言葉も無視して眞野は止まることなく歩いてベンチにあるスポーツバックにボールを突っ込む。  身震いをすると、やっと俺の腕を離してベンチコートを着た。 「寒いけど金はないからここでいい?」  前を閉めて振り返ると、眞野は笑って俺の返事なんて聞かずにベンチに座る。  そして、タシタシとその横を叩いた。 「百瀬って迫田と同じ高校行ったんだよな?」 「へぇ、お前、俺の進学先知ってたんだ」  出てしまった情けない言葉をどう誤魔化そうか考えながら、とりあえずいつもの調子を取り戻そうと軽く笑ってみる。 「いや、この前、迫田に会った時に同じ制服着てたから」 「は?」 「ここは迷える子羊たちが集まってくるのかねぇ」  笑いながら眞野は体を仰け反らせて空を見上げた。  すっかり暗くなった空は雲一つなくて、月がやけに明るく見える。 「迫田、悩んでたのか?」  聞いてみると、眞野はこっちを見て少し笑った。
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