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「あいつ、家具マニアって知ってる?」
「は?何だそれ」
眉を寄せると、「知らねぇよなぁ!」と眞野が声を出して笑い出す。
「迫田、うちに来たことあってさ。普通、休んだプリントとかってポストに入れとくだろ?あいつ、わざわざチャイム鳴らして上がり込んできて……」
その時を思い出しているらしい眞野はククッと堪えきれずに笑いを漏らした。
「リビングに入った瞬間、すっげぇ!1枚板の何とかだ!ってテーブル魅入っちゃってさ!」
魅入るとか……普段のおちゃらけた迫田からは想像したこともない姿で軽く戸惑う。
「そんな好きなら仕事にしろよ!って、昔あいつに言われたのをそのままあいつにも返してやったんだよ」
言いながら眞野は一応付いている明かりに照らされたグラウンドを見つめた。
「迫田が?」
「そ!俺、プロになりたいとは思ってたけど、それまで口には出せなくて……でも、その背中を押してくれたのはあいつなんだよ」
俺が眞野からプロになりたいと聞いた記憶がある1番最初って……いつだ?
「小6で将来の夢って書くじゃん?そこにプロになる!って書けたのは迫田のお陰なんだ」
揺らがない決意をしたような眞野の顔。
俺なんて何を書いたかもよく覚えていないのに、こいつらはそんな時から真剣に考えていたのか?
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