頑張れ!

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頑張れ!

 いつの間にか眞野が呼んだらしい迫田は大げさに震えて見せて、「お金がない」と言った眞野に「バイト代出たから今日は特別だぞ」とさっさと自転車に向かって歩き出す。  今度は俺が「自転車がない」と言うと「俺、ランニングするからお前、俺の乗れば?」と眞野は鍵を投げてきた。  迫田の後ろを俺が眞野の自転車に乗って続き、眞野は涼しい顔をして軽快に足を動かす。 「鍋食いてぇ!鍋!」 「俺はすぐ帰るからな!明日も朝練で早いんだから」 「えー!パフェとかもつつこうぜ〜ぇっ!」 「余計冷えんだろ!」 「鍋食ったら暑くなんじゃん!」 「「バカだな」」  眞野とハモって笑い声を上げる。 「あー!そっか!『夢に向かって走り出せ!!』だっけ?」 「は?」  急に叫びながら振り返った迫田から目を逸らすと、眞野が首を傾げた。 「確かに、あのポスター見てから百瀬、機嫌悪かったもんな」  余計なことを言われる気しかしなくて横に並んだ俺はそのまま迫田の自転車を蹴ってやる。 「うぉっ!ちょっ!何すんだよ!今、まさに走り出してんじゃん?俺ら!!」 「アホか」  笑う眞野の声を聞きながら俺は少しスピードを緩めて空を見上げた。  相変わらず雲一つない空。  やけに明るい月明かりに照らされて俺らはそれぞれ足を動かした。
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